上州武尊山北麓の利根郡片品村では、猿祭を行なっているところがある。旧暦九月の申【さる】の日を祭日とする点では「花咲の猿追い祭り」と共通するものの、その由来・内容等に相違が認められ、この祭の意義を理解する上で重要である。特に大字花咲の猿祭は、赤飯を振りかけ合う風や猿に扮する者を追いかける等の古態を伝えるとともに、在来の祭祀組織をよく残している点等から、豊饒を願う人々の信仰形態がうかがえる。記録類が数多く保存されているので、これをも援用して猿祭の習俗を記録するものである。
国重要文化財データベースより
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